本ページには広告(アフィリエイトプログラム)が含まれます。
この記事の結論
- 職務経歴書は自由様式。ただし必須項目は決まっており、「標題・氏名・日付・職務経歴」の4つ。
- 分量の目安はA4縦・1〜2枚程度。製造業で効くのは、担当製品や工程の一覧を「別紙」に逃がすという選択肢。
- 並べ方は4通り(編年体式/逆編年体式/キャリア式/フリースタイル)。迷ったら編年体式でよい。
- 文章は名詞止めが原則。ただし自己PR・志望動機だけはていねいな文体にする。
製造業・技術職の職務経歴書で最初に手が止まるのは、多くの場合「何を書くか」より前の「どういう形で書くのか」です。決まった様式がないと言われる一方で、書式が崩れていると読んでもらえない気もする。この折り合いがつかないまま、白紙の時間が過ぎていきます。
実は、この「器」の部分には公的機関が公開している目安があります。ハローワークが配布している「職務経歴書の作り方」パンフレットには、用紙・枚数・必須項目・並べ方まで書かれています。ここではその内容を踏まえたうえで、製造業・技術職ではどう当てはめるかを整理します。
なお、書いた中身が社外の読み手に伝わるかという表現の問題は別の論点です。そちらは製造業・技術職の職務経歴書と実績の伝え方で扱っています。この記事は器のほう、つまりどこに何を置くかに絞ります。
自由様式でも、決まっているものはある
職務経歴書は履歴書と違い、決められた様式がありません。ただし「何を書いてもよい」わけではなく、必ず書く項目と選んで足す項目に分かれます。
| 区分 | 項目 | 扱い |
|---|---|---|
| 必須 | 標題 | 「職務経歴書」と、大きめの字で最上部中央に |
| 日付 | 提出日(郵送なら投函日、持参なら持参日)。履歴書と同じ日付にそろえる | |
| 氏名 | パソコンで作成する場合も、氏名だけは自筆としてもよい | |
| 職務経歴 | 本体。下位項目は後述 | |
| 選んで足す (3〜6項目程度) | 職歴概要/略歴 | 経歴のエッセンスを冒頭で要約する |
| 取得資格・免許 | 正式名称で。勉強中・1次のみ合格なども、その旨を明記すれば記載可 | |
| 活かせる能力 | 見出しは「扱える機械」「得意な技術」「専門知識」などに変えてもよい | |
| 自己PR | 長所・強み、仕事への姿勢、将来目標など | |
| 志望動機 | 「職務経歴」より前に置くことが多い |
項目数の目安は、冒頭部分(標題・氏名・日付)と「職務経歴」の下位項目を除いて、全部で3〜6項目程度とされています。資格も能力も自己PRも全部載せたくなりますが、増やすほど焦点はぼけます。
用紙・枚数と、製造業だけが使える「別紙」
分量の目安は、A4縦サイズの白無地の紙、1〜2枚程度。パソコンで横書きに作るのが一般的ですが、黒のボールペンや万年筆での手書きでも差し支えないとされています(鉛筆・シャープペンシルは不可)。
ここで製造業・技術職にとって重要なのが、次の一文です。パンフレットには、「工事経歴一覧」「開発担当プロジェクト一覧」「作品集」などを別紙として付ける場合は、必要枚数分は若干増えても差し支えないと書かれています。
つまり、担当した製品・設備・工程が多くて2枚に収まらないという問題は、本文を削るのではなく別紙に分けることで解けます。本文は読み物として1〜2枚に保ち、一覧性が要るものは表にして後ろへ回す。この分け方を先に決めておくと、書きながら分量に押しつぶされずに済みます。
「職務経歴」の中に何を書くか
本体である「職務経歴」は、各社ごとに次の項目で構成します。製造業では、太字にした3つの書き方で読みやすさが大きく変わります。
| 下位項目 | 書き方の目安 |
|---|---|
| 時期 | 「○年○月〜○年○月(○年○ヶ月)」のように在籍期間を添える |
| 勤務先 | 「(株)」などの略称を使わず正式名称で |
| 事業内容 | 「○○○の製造(従業員○○人)」のように、何をつくっている会社かと規模を1行で |
| 所属 | 「○○工場」「○○部」のように、工場名・部署名まで |
| 役職 | 管理職の場合は部下の人数も付記できる |
| 雇用形態 | 正職員以外(派遣・契約・パート等)の場合は( )書きで |
| 職務内容 | 仕事の具体的内容・処理方法・責任の範囲。取扱製品の種類、使用機器、技術なども付記できる |
| 実績 | 可能であれば成果指標の数値を。エピソードの付記も可 |
| 退職理由 | 「一身上の都合により退職」など簡潔に。前職の批判は書かない |
「事業内容」と「所属」を省く人は多いのですが、製造業ではここが効きます。同じ「品質保証部」でも、部品メーカーの1工場なのか、完成品メーカーの本社部門なのかで仕事はまるで違うためです。会社の位置づけと自分の所属が分かって初めて、その下の職務内容が読めます。
また「職務内容」に使用機器・技術を付記してよいと明記されている点も、技術職には使いどころがあります。扱った設備・工法・解析ツールは、経歴の説得力を支える具体物です。ここに何を書くかは職種によって変わるため、生産技術・機械設計・品質保証など職種別の書き分けもあわせてご覧ください。
IT・Webエンジニアの場合、ここに書く具体物は設備や工法ではなく、担当したフェーズ・技術スタックへの関与の深さ・非機能要件への関わりになります。その書き分けはITエンジニアの職務経歴書(担当フェーズとレイヤーで書く)にまとめています。
4つの記載スタイルと、製造業での選び分け
「職務経歴」の並べ方には、次の4通りがあります。わからないときは編年体式でよいとされているので、まずここから考え始めれば十分です。
| スタイル | 並べ方 | 製造業で向く場面 |
|---|---|---|
| 編年体式 | 古い経歴から順に | 迷ったらこれ。1〜2社で工程を順に広げてきた経歴と相性がよい |
| 逆編年体式 | 新しい経歴から順に | 直近の担当工程が応募先の募集内容に最も近いとき |
| キャリア式 | 職務内容の類型ごとに区分し、その中でアピール力の高い順に | 設計・生産技術・品質など複数領域にまたがり、分野ごとに見せたいとき |
| フリースタイル | 類型ごとに区分したうえで時系列に並べる、勤務先ごとにまとめる など | 上の3つに当てはめると読みにくくなるとき |
キャリア式には注意点があります。経験した職務内容を強調できる反面、職歴の時間的な流れが分かりにくくなるため、別に職歴を簡単に時系列で並べた「略歴」を付記するとわかりやすくなる、とされています。転職回数が多い場合ほど、この一手間が効きます。
文章の作法は3つだけ覚える
細かい作法は数多くありますが、技術職の書類で崩れやすいのは次の3点です。
- 原則は名詞(体言)止め。「〜を担当」「〜に従事」のように名詞で終える。ただし「自己PR」「志望動機」だけは「〜を担当しました。」のようなていねいな文体にする。
- 年号は和暦か西暦に統一する。通常は和暦、外資系企業やIT企業への応募では西暦が一般的とされています。日付・在籍期間・資格の取得年月が混在しがちなので、最後に通しで確認します。
- 読み手が理解しにくい専門的な用語や内容は、( )書きで説明を付記する。これは公的資料に明記されている作法です。製造業では最も出番が多く、社内用語をそのまま書いてしまう問題への直接の答えになります。
3つ目については、括弧書きで足りるのか、そもそも言葉を置き換えるべきなのかという判断が要ります。その線引きは製造業・技術職の職務経歴書と実績の伝え方で、言い換えの具体例とともに整理しています。
見た目については、パソコンで作成する場合、標題や見出しを除く本文の文字は10.5〜12ポイント程度、行間や文字間を詰めすぎず、紙の余白、特に左余白を十分にとるとされています。左余白は、採用担当者がファイリングをするために必要とされるものです。
「自己PR」に何を書くか
数値の成果が出しにくい職種ほど、自己PR欄で手が止まります。パンフレットでは、実務能力に自信がない場合でも次の観点から書けるとしています。
- 応募職種と関連するアルバイト経験、訓練・研修の経験、現在勉強中の分野
- 自分の性格・行動特性(積極性、粘り強さ、協調性、責任感 など)
- 仕事への姿勢・意欲(どのようにがんばり、どのように応募先企業に貢献したいか)
- 将来目標・将来の可能性
製造業でこれを書くときは、抽象的な性格の話で終えず、どの工程の、どんな場面でその性質が出たのかを1つ添えると具体になります。たとえば「粘り強さ」だけでは伝わりませんが、原因が特定できない不具合に対して条件を変えながら検証を続けた、という場面があれば、それが根拠になります。
1社ごとに書き分けるための「マスターシート」
職務経歴書は応募先企業ごとに内容が異なるものであり、同一の内容を複数の応募先に使い回すことは適当でないとされています。とはいえ毎回ゼロから作るのは現実的ではありません。
そこで勧められているのが、自分の職務経歴や能力をすべて網羅した「マスターシート」(様式自由)を1つ作っておく方法です。提出用はそこから応募先ごとに取捨選択する。技術職のように担当工程・設備・製品の種類が多い人ほど、この作り方が効きます。
棚卸しの手順そのものは製造業の職種・工程の全体像と技術経験の活かし方で扱っています。マスターシートは、その棚卸しの結果を1枚に集めたものだと考えると分かりやすいはずです。
提出前チェックリスト
- 標題・氏名・日付・職務経歴の4つがそろっている
- 日付が提出日で、履歴書と同じ日付になっている
- 本文がA4縦1〜2枚程度に収まっている(一覧は別紙に分けた)
- 選んだ項目が3〜6項目程度で、詰め込みすぎていない
- 記載スタイルを1つに決めている(キャリア式なら略歴を付けた)
- 会社名・資格名・学校名を正式名称で書いている
- 和暦/西暦が統一されている
- 専門用語に( )書きの説明を付けた、または一般的な言葉に置き換えた
- 本文が名詞止めで、自己PR・志望動機だけていねいな文体になっている
- 左余白を十分にとっている/印字のかすれ・誤字脱字を確認した
- コピーを手元に残した(面接では記載内容に沿って質問されることが多いため)
よくある疑問
2枚に収まりません
本文を削る前に、別紙に分けられるものがないかを見ます。担当製品の一覧、担当設備の一覧、開発プロジェクトの一覧などは、本文に散らすより表にまとめたほうが読みやすく、別紙であれば必要枚数分は増えても差し支えないとされています。
手書きとパソコン、どちらがよいですか
パソコンで横書きに作るのが一般的とされていますが、黒のボールペン・万年筆等による手書きでも差し支えないとされています(鉛筆・シャープペンシルは不可)。応募先から指定がある場合は、その指定が優先です。
図面や写真を付けてもよいですか
「作品集」を別紙として付ける形は想定されています。ただし製造業では、図面・写真・工程条件が守秘義務の対象になることが多い点に注意が必要です。持ち出せる情報かどうかは、勤務先の規程や雇用契約でご自身で確認してください。判断の考え方は職務経歴書と実績の伝え方の守秘義務の項で整理しています。
退職理由は詳しく書くべきですか
「一身上の都合により退職」のように簡単に記載するのが基本とされています。具体的に伝えたい場合はていねいに書くこともできますが、前の会社の批判は避けるべきものとされています。
まとめ:次の一歩
職務経歴書の器は、思われているほど自由ではありません。必須4項目・A4で1〜2枚・選ぶ項目は3〜6・並べ方は4通り。ここを先に固定してしまえば、残る作業は中身を書くことだけになります。
次の一歩として、①記載スタイルを1つ選び、②別紙に逃がすものを決め、③マスターシートに経歴を全部書き出す、の順で進めてみてください。様式や提出方法に応募先の指定がある場合は、その指定が優先されます。記載可能な情報の範囲も勤務先の規程によって異なるため、必ずご自身でご確認ください。
関連記事
- 製造業・技術職の職務経歴書と実績の伝え方
- 技術職の職務経歴書:生産技術・機械設計・品質保証の書き分け
- 製造業の職種・工程の全体像と技術経験の活かし方
- 製造業・メーカーの転職・キャリアを整理する
- ITエンジニアの職務経歴書(担当フェーズとレイヤーで書く)
【出典・情報の確認について】
本記事のうち、用紙・枚数・必須項目・記載スタイル・文章作法に関する記述は、厚生労働省 ハローワークインターネットサービスが公開する「職務経歴書の作り方」パンフレット(2026年8月28日確認)の記載に基づいています。製造業への当てはめ方・例示・チェックリストは本サイトによる整理です。応募書類の様式や提出方法は企業ごとに異なり、指定がある場合はそちらが優先されます。記載可能な情報の範囲は雇用契約・社内規程により異なるため、必ずご自身でご確認ください。本記事は特定サービスの推薦ではなく、判断材料の整理を目的としています。
- 厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「履歴書・職務経歴書の書き方」および「職務経歴書の作り方」パンフレット
- 各メーカー・事業会社・転職サービスの公式サイトおよび公式求人情報
